図解あり!親と一緒に学ぶエンディングノートの意味・書き方・遺言との違い

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親の終活に向き合うタイミングとは

「お母さん、そろそろエンディングノートって書いたほうがいいのかな?」――そんな言葉をかけることに、ためらいを感じる方も多いかもしれません。けれど、実際に親の体調が不安定になったり、入院や介護が必要になったりする場面に直面すると、「もっと早く話しておけばよかった」と後悔する声もよく聞かれます。

たとえば、私の友人のケースでは、認知症が進んでしまったお父様の代わりに、財産の手続きや医療の方針について兄妹で意見が割れてしまい、家族の関係がぎくしゃくしてしまったそうです。そんなトラブルを防ぐためにも、元気なうちから親子で終活について話すことが、何より大切なのです。

終活は「死」の準備ではなく、「自分らしく生ききる」ための準備。親が元気な今こそ、自然に話題にしやすいタイミングなのです。

なぜ今、エンディングノートが注目されているのか

エンディングノートは、ここ数年で高齢者世代を中心に急速に広まっています。理由のひとつは、高齢化社会の進行とともに介護や医療、相続など家族が決めることが増えているからです。

たとえば、延命治療をどうするか、葬儀はどのようにしてほしいか、どの銀行に預金があるか――これらは、本人が元気なうちに希望を伝えておかないと、家族が迷ったり、揉めたりする原因になります。

また、テレビや雑誌で「エンディングノート特集」が取り上げられたり、市役所や地域の終活セミナーで無料配布されるケースも増えており、「書いてみたい」「親にすすめたい」と考える人が多くなってきています。

とはいえ、「遺言書とどう違うの?」「何から書けばいいの?」という声も多いのが現実。この記事では、図解を交えて、親と一緒に理解しやすいエンディングノートの基本と活用法を、わかりやすく解説していきます。

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目次

1.エンディングノートの基礎知識

エンディングノートとは何か?その意味と役割

エンディングノートとは、人生の終わりに向けて自分の思いや希望、そして家族に伝えたいことをまとめておくノートです。形式は自由で、手書きでも市販の専用ノートでも構いません。「もしものとき」に備えて、自分の意志を残しておけるツールとして、注目を集めています。

書く内容は幅広く、連絡先や保険の情報、医療や介護の希望、葬儀の形式、親しい人へのメッセージなど。たとえば、「私は延命治療を希望しません」「お葬式は家族だけで静かに行ってほしい」「タンスの引き出しに通帳があります」など、家族にとって迷わず行動できる情報を残しておけます。

エンディングノートは、「家族へのやさしさを形にするメモ」ともいえる存在です。

遺言書との違いを図解でわかりやすく解説

よく混同されがちですが、エンディングノートと遺言書には大きな違いがあります。簡単にまとめると、遺言書は法的効力がある書類で、エンディングノートは気持ちや希望を伝えるための任意のノートです。

以下のように区別できます:

比較項目エンディングノート遺言書
法的効力なし(参考資料として扱われる)あり(遺産分割・相続に影響)
書き方自由(手書き・テンプレートなど)民法に基づく厳格なルールが必要
主な内容医療、介護、葬儀、メッセージなど財産分配、相続人の指定など
修正のしやすさ何度でも自由に書き直せる書き直しには形式と証人が必要な場合も
家族への想い気持ちや思い出を自由に記録できる相続に関する明確な指示を残せる

図解や比較表を用いることで、両者の役割や使いどころが視覚的にわかりやすくなります。親にも「難しくないよ」「気軽に書いていいんだよ」と伝えやすくなるでしょう。

法的効力がないけど「書くべき」理由

「エンディングノートには法的効力がないなら、書かなくてもいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、それでも多くの専門家が「エンディングノートは書くべき」とすすめています。

理由は、家族が迷わず判断できるからです。たとえば、突然の入院で延命治療の判断を迫られたとき、本人の希望がわからず、家族が苦しんでしまうケースがあります。ですが、「延命治療は希望しない」とノートに書いてあれば、その意思に沿った決断ができます。

また、思い出の品の処分や、葬儀のスタイルなど、相続には関係しないけれど家族が悩みがちな事柄についても、本人の意向が見えるだけで安心感が生まれます

「残された家族が困らないように」「自分の生き方を最後まで大切にしたい」――そんな思いを形にするのが、エンディングノートなのです。

2.エンディングノートに書くべき内容

基本情報と財産の整理(図解付き)

エンディングノートの最初に書いておきたいのが、自分自身の基本情報や家族・関係者の連絡先、保有している財産の一覧です。これは、もしもの時に家族が手続きを円滑に進めるためにとても役立ちます。

具体的には以下のような内容を記入します:

  • 氏名、生年月日、住所、連絡先
  • 家族構成と緊急連絡先(親族・友人・かかりつけ医など)
  • 銀行口座や保険の一覧
  • 所有している不動産や車などの資産
  • 借入金やローンの有無

例えば、銀行口座が3つある場合、それぞれの銀行名・支店・口座種別・名義を一覧にしておけば、家族が探し回る必要がなくなります。中には、**「どこに何があるのか本人しか分からない」**というケースも多く、これが原因で手続きが長引くこともあります。

図で整理すると、下記のようなフォーマットが便利です:

項目内容備考
銀行口座○○銀行 ○○支店 普通 1234567メイン口座。年金受取用
保険△△生命保険 ○○プラン契約者本人。保険証書はタンス右下
不動産神奈川県横浜市○○町 1-2-3自宅(固定資産税の納付書あり)

こうした情報の整理は、残される家族への思いやりでもあり、親自身も「自分の人生の棚卸し」になる大切な作業です。

医療・介護の希望を書くポイント

次に重要なのが、医療や介護に関する希望をエンディングノートに記すことです。これは、元気なうちに考えておくことで、もし急に判断が必要になったときに家族が迷わず対応できるようになります。

たとえば、次のような内容を具体的に書いておきましょう:

  • 延命治療は望むか
  • 認知症になった場合の希望する生活環境(施設か自宅か)
  • 入院・手術の可否や意向
  • 誰に判断を託したいか(家族の中で特定の人がいる場合)

母のケースでは、「チューブで生きながらえるのは望まない」と明記してあったため、病院でもすぐに本人の意志を尊重した対応ができました。反対に、何も書かれていなかった場合、「本当にこれでよかったのか…」と家族が後悔することもあります。

「自分の希望が通らないことが一番怖い」と考える高齢者も多く、親の立場からすれば、こうした記録が“安心して生きる”ための土台にもなります

家族へのメッセージ欄の活かし方

最後に、忘れてはならないのが「家族へのメッセージ欄」です。この部分には、感謝の気持ちや伝えられなかった思い、これからの家族への願いなど、自由に気持ちを書き残すことができます。

「これまで育ててくれてありがとう」「あのときは言いすぎてごめんね」「仲良く助け合って過ごしてね」――そんなメッセージを残しておくことで、読む側の心がふっとやわらぐ瞬間があります。

実際に、エンディングノートを読んだ家族が「涙が出た」「自分もがんばろうと思えた」と話すケースも多く、単なる情報整理を超えた“心の財産”としての役割を果たすのです。

親が普段は口に出さないような想いを、そっと残しておける場所。それが、エンディングノートのメッセージ欄なのです。

3.親と一緒にエンディングノートを書く方法

書くことへの心理的ハードルをどう下げるか

エンディングノートを書き始めるには、実は少し勇気がいります。特に親世代にとっては、「死を意識していると思われたくない」「縁起でもない」と感じる方も多いのが現実です。

そこでまず大切なのは、「未来のための準備」であることを伝えることです。「何かあったときに困らないようにメモしておこうと思って」や、「私も一緒に書いてみようと思うんだけど」など、自分の話題から切り出すと、親も受け入れやすくなります。

たとえば、私の知人は、父の日のプレゼントとして「エンディングノートと万年筆のセット」を贈りました。「自分の足跡を残すような感覚で書いてみて」と伝えたところ、父親は少しずつ自分のことをノートに書くようになったそうです。

また、「全部書かなくていいよ。気になったところからで大丈夫」と伝えることも、心理的な負担を軽くする効果があります。“正しく書こう”ではなく、“書きたいことだけ書こう”の気持ちで始めるのがコツです。

話し合いの始め方とすすめ方のコツ

エンディングノートを書くには、親子での会話が欠かせません。でも、いきなり「延命治療のことどう思ってる?」と切り出すのは重たすぎます。まずは、日常の雑談の中から自然に話題をつなげていくのが良い方法です。

たとえば、ニュースで有名人の終活が取り上げられていたとき、「こういうの見たことある?私たちも何か準備しておいたほうがいいのかな」と振ってみると、話しやすくなります。

また、親の立場にとって「自分の意志を尊重してもらえる」という安心感はとても大きいものです。「最終的にはお父さん(お母さん)の意思を大事にしたいから、教えてもらえたらうれしい」と前置きすれば、会話も柔らかく進みます。

さらに、話し合いを一度で終わらせようとしないのもポイント。何回かに分けて、無理のないペースで話すことが、良い終活につながります

テンプレートや配布冊子を活用した実践例

最近では、自治体や金融機関、葬儀社などが無料でエンディングノートを配布していることも多く、気軽に始められる環境が整っています。

例えば、東京都世田谷区では「わたしの思いノート」というオリジナルのエンディングノートが配布されており、高齢者福祉窓口で誰でも受け取れます。内容もシンプルで、住所や保険情報、医療の希望などが書ける構成になっていて、書きやすいと評判です。

また、インターネット上でも「エンディングノート PDF 無料」と検索すれば、印刷して使えるテンプレートが多数見つかります。中には、チェック形式で記入しやすいものや、家族で一緒に書けるデザインのものもあります。

実際に私の母も、市役所で配布されていたノートをきっかけに、少しずつ書き始めました。「書いてみると、思ったより気が楽になった」と言っていて、本人にとっても心の整理になったようです。

最初の一歩を踏み出すには、こうしたテンプレートの“形”が大きな助けになるのです。完璧を目指すのではなく、「思い出しながら埋めていく」くらいの感覚で始めることが、親子の会話を自然に育ててくれるはずです。

エンディングノート 記入例付きテンプレート

📝 エンディングノート 記入テンプレート(記入例付き)

以下は、実際の記入イメージです。ご自身の状況に合わせて自由に編集・印刷してください。

■ 基本情報

  • 名前(フリガナ):山田 太郎(ヤマダ タロウ)
  • 生年月日:1955年5月10日
  • 住所:東京都杉並区西荻北1-2-3
  • 電話番号:090-1234-5678
  • 血液型:A型
  • かかりつけの病院:西荻内科クリニック
  • 緊急連絡先:長男 山田一郎 090-2345-6789

■ 医療・介護の希望

  • 延命治療についての希望:できる限り自然な形で最期を迎えたい
  • 認知症になった場合の希望:家族と相談して施設入居も考慮してほしい
  • 介護を希望する場所(自宅/施設など):できれば自宅で
  • 判断を任せたい人(名前):長男 山田一郎

■ 財産・契約情報(わかる範囲でOK)

  • 主な銀行名・支店:みずほ銀行 西荻窪支店
  • 預金口座番号:普通1234567
  • 保険会社・プラン名:○○生命 終身保険プランB
  • 所有している不動産:東京都杉並区の自宅(持ち家)
  • ローンや借入の有無:住宅ローン完済済み、借入なし
  • 年金(種類と受給先):国民年金、厚生年金(日本年金機構)

■ 葬儀・供養について

  • 葬儀の形式(家族葬・一般葬・希望なしなど):家族葬
  • 希望する宗派・菩提寺:曹洞宗 ○○寺(杉並区)
  • 遺影に使ってほしい写真の場所:リビングのアルバム3冊目の表紙写真
  • 希望する埋葬方法(お墓/散骨など):家族墓に埋葬

■ 家族・大切な人へのメッセージ

長い間ありがとう。皆それぞれの人生を大切に歩んでください。
家族との時間が一番の宝物でした。
これからも仲良く助け合って暮らしていってください。

※このテンプレートに法的効力はありませんが、大切な意思表示としてご活用いただけます。

まとめ

エンディングノートは、親の“これから”を支える大切なツールです。医療や介護の希望、財産や保険の情報、そして家族へのメッセージまで――この1冊に、人生の軌跡と未来への想いを詰め込むことができます。

難しそうに感じるかもしれませんが、実は“正しく”書く必要はありません。まずは気軽に、話せること、思いついたことから始めてみることが大切です。そして、親子で一緒に取り組むことで、単なる書類作成ではなく心を通わせる時間にもなります。

「こんなふうにしておいてくれたら助かるな」
「自分が倒れたとき、子どもたちが困らないようにしたい」

そんな想いを、自然な形で残せるエンディングノート。あなたの家庭でも、まずは一歩、始めてみませんか?図解やテンプレートを使えば、きっと思ったよりもずっと簡単に始められます。

親のこれからを、家族のこれからを、一緒に考える――そのきっかけが、このノートには詰まっているのです。

終活って何から始めたらいい?

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