法定相続人とは誰?家系図と戸籍でわかる相続人の確認方法と手続きの進め方【完全ガイド】テンプレートあり

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相続の手続きは「誰が相続人なのか」を正確に把握することから始まります。
この記事では、民法で定められた「法定相続人」とは誰のことか、どのような順位や条件で相続権が生じるのかを丁寧に解説します。

特に、前妻との子や養子、代襲相続、認知された子どもなど、家族構成が複雑な場合に起こりがちな誤解やトラブルにも触れながら、相続関係図や法定相続情報一覧図の使い方までわかりやすくご紹介。

実際の戸籍の取り寄せ方や、見落としやすいポイントについても解説しているので、相続を円滑に進めたい方はぜひ最後までご覧ください。

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目次

はじめに

相続ってそもそも何?

相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産や権利・義務を、法律上の決まりにしたがって家族などが受け継ぐことをいいます。たとえば、父親が亡くなったときに、家や預金を母親や子どもが引き継ぐといったケースが代表的です。

ただし、相続の対象は「プラスの財産」だけではありません。借金やローンといった「マイナスの財産」も含まれるため、誰がどのように相続するのかは非常に重要な問題になります。

なぜ法定相続人を理解する必要があるのか

実際の相続では「誰が相続するのか」で揉めることが少なくありません。そのときに基準となるのが、法律で決まっている「法定相続人」です。
たとえば、「長男がすべてを相続するはずだ」と思い込んでいたら、実は他の兄弟にも同じ権利があった、というようなケースも。
さらに、再婚していたり、前妻との子どもがいたりすると、誰が相続人になるのか分かりづらくなります。こうしたトラブルを防ぐためにも、法定相続人について正しく理解しておくことは非常に大切です。

相続手続きを始める前に知っておきたいこと

「相続」という言葉を聞くと、遺言書や遺産分割などを思い浮かべる方が多いかもしれません。でも実は、その前段階として大切なのが「誰が相続人なのか」をはっきりさせることです。相続人が誰なのかを間違えると、後の手続きがスムーズに進まず、トラブルに発展することもあります。

たとえば、父親が亡くなり、母と子ども2人が相続人だと思っていたところ、実は父に前妻との間に子どもがいて、その人も相続人だった…というケースは少なくありません。こうした問題を防ぐには、最初の段階で正確に法定相続人を確認することがとても大切です。

このブログでは、相続手続きに必要な「法定相続人の確認方法」についても、わかりやすく解説していきます。

1.法定相続人とは誰のこと?

民法が定める相続人の範囲

「法定相続人」とは、民法で定められている“相続の権利を持つ人”のことです。亡くなった人(被相続人)の財産は、原則としてこの法定相続人に分配されます。

民法では、相続人になれる人の順番(順位)が決まっています。

  • 第1順位:子ども(亡くなっていれば孫が代わって相続)
  • 第2順位:父母や祖父母(直系尊属)
  • 第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっていれば甥や姪)
順位法定相続人相続の条件
第1順位子(または孫)被相続人に子がいれば最優先。孫は代襲相続。
第2順位父母(または祖父母)子がいない場合に相続。
第3順位兄弟姉妹(または甥・姪)子も親もいないときに相続。甥・姪は代襲相続可能。
特例配偶者(常に相続人)法律上の婚姻関係にある場合のみ(内縁は対象外)。

この順番にしたがって、上位の人がいれば下位の人には相続権がありません。たとえば、子どもがいる場合は、親や兄弟姉妹は相続人にはなりません。

2.具体的なケースで見る法定相続人

配偶者は常に相続人

順位に関係なく、法律上の配偶者(夫または妻)は必ず相続人になります。これは、どんな場合でも変わりません。

配偶者は、被相続人(亡くなった方)が亡くなった時点で法律上の婚姻関係にある場合、必ず相続人になります。つまり、結婚していた配偶者は、子どもがいてもいなくても相続権を持つということです。

たとえば、夫が亡くなった場合、妻は相続人になります。たとえ夫に子どもがいても、いなくても関係ありません。

子どもがいる場合は「配偶者と子ども」、子どもがいない場合は「配偶者と親」または「配偶者と兄弟姉妹」で遺産を分け合うことになります。

ただし、「内縁の妻」や「事実婚」の場合は法律上の配偶者とみなされないため、相続人にはなれません。これも相続トラブルになりやすい点なので注意が必要です。

血縁関係による順位と優先度(子・父母・兄弟姉妹)

配偶者以外の相続人には、順位があります。子ども、親、兄弟姉妹の順で、順位が上の人がいる場合は下の人には相続権がありません。

  1. 第1順位:子ども(直系卑属)
     例:夫が亡くなった場合、妻と子ども2人が相続人になります。子どもは実子・養子を問わず含まれます。
  2. 第2順位:父母・祖父母(直系尊属)
     例:夫婦に子どもがいなかった場合、夫の両親が生きていれば、妻と夫の両親が相続人になります。
  3. 第3順位:兄弟姉妹
     例:子どもも両親もいない場合、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になります。

3.法定相続分の基本ルール

法定相続分とは、「誰が、どのくらい相続するか」を定めたルールです。これは、遺言がない場合に適用され、民法で割合が明確に決まっています。

たとえば、配偶者と子どもが相続人であれば、配偶者は1/2、子どもたちは残りの1/2を均等に分けるといった具合です。相続人の人数や関係性によって、この割合は変化します。

💰 法定相続分(遺産の分け方の割合)

この法定相続分は、あくまでも“基本”の取り分。遺言がある場合や、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)によって異なる配分になることもありますが、基準として知っておくことは非常に重要です。

家族構成法定相続人法定相続分
配偶者のみ配偶者は常に相続人全額 他に法定相続人がいないため
配偶者と子ども 配偶者と子ども (第1順位)配偶者1/2、子ども1/2(子が複数なら等分)
配偶者と親(直系尊属)のみ配偶者と親((第2順位) 配偶者2/3、親1/3(親が2人なら1/6ずつ)
配偶者と兄弟姉妹のみ配偶者と兄弟姉妹(第3順位)配偶者3/4、兄弟姉妹1/4(複数なら等分)
子のみ子ども (第1順位)全額を子で等分子が2人なら1/2ずつ

子どもがいる場合の構成

相続人に子どもがいる場合は、最も基本的な構成です。配偶者と子どもたちが法定相続人となり、相続分は配偶者が1/2、子どもたちで残り1/2を等分します。

たとえば、夫が亡くなり、妻と子ども2人がいる場合、妻が1/2、子どもAとBがそれぞれ1/4ずつを相続します。
ただし、子どもが先に亡くなっていた場合、その子(孫)が代襲相続する形で相続人になります。

子どもがいない場合の親や兄弟姉妹の役割

子どもがいない場合には、親(または祖父母)が相続人となります。この場合、配偶者と親が一緒に相続することになります。配偶者が2/3、親が1/3の割合で分けるのが基本です。

例:妻と父母が相続人の場合 → 妻が2/3、父と母がそれぞれ1/6ずつ相続。

親もすでに亡くなっている場合には、兄弟姉妹が相続人に繰り上がります。配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4を分け合います。兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子ども(甥・姪)が代襲相続します。

たとえば、独身で子どももおらず両親も他界していた男性が亡くなった場合、彼の兄弟姉妹が相続人になります。このように、血縁関係に応じて相続の優先順位が変わっていきます。

血族相続人の順位と代襲相続

血のつながりのある家族には、相続順位がありますが、もう一つ重要なのが「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」という考え方です。

これは、たとえば被相続人の子どもがすでに亡くなっていた場合、その子どもの子(=孫)が代わって相続できるという制度です。

具体例:

  • Aさんが亡くなり、子どもBはすでに他界していた。
  • Bには子ども(C)がいる。
  • この場合、CがBの代わりにAの遺産を相続します。

この仕組みは兄弟姉妹にも一部適用されます(甥・姪への代襲相続)。相続人の構成が複雑になる場合ほど、代襲相続の仕組みを理解しておくことが重要です。

特別なケース(養子縁組・非嫡出子・認知された子など)

近年では家族構成も多様化しており、再婚や前妻との子ども、養子がいるケースも珍しくありません。こうした場合は、相続人の範囲がより複雑になります。

被相続人が再婚していて、前妻との子と後妻との子がいる場合、両方の子どもが同じ立場で相続人になります血のつながりは関係なく、法律上の子であれば平等に扱われます。

養子縁組された子どもは、実子と同じく法定相続人として扱われます。戸籍上、養子であっても相続の権利は変わりません。ただし、養子も同様に相続権がありますが、「特別養子」と「普通養子」で実親との関係が変わるため、注意が必要です。

また、非嫡出子(結婚していない男女の間に生まれた子)でも、父が認知していれば相続権があります。認知されていれば、実子と同じ割合で相続できるのです。

一方で、配偶者の連れ子は、特に養子縁組をしていなければ、相続人にはなりません。たとえば、夫が亡くなり、妻が前夫との子を連れて再婚していたとしても、その子は養子縁組されていない限り夫の相続人にはならないということです。

こういったケースでは、「誰が相続人なのか」を確認するだけでも時間がかかることがあり、相続手続きでトラブルになることが少なくありません。

相続放棄や死亡による相続人の変動

法定相続人が必ずしも相続するとは限りません。たとえば「相続放棄」をすると、その人は最初から相続人でなかったことになります。

例:夫が亡くなり、妻と子ども2人が法定相続人だったが、子どもAが相続放棄をした場合 → 妻が2/3、子どもBが1/3を相続します。

また、相続人が相続開始前にすでに亡くなっている場合は「代襲相続」が発生します。たとえば、被相続人の子が亡くなっていた場合、その子(=孫)が代わって相続します。

このように、相続放棄や死亡によって相続人の構成が変わることもあるため、「誰がどれだけもらえるのか?」を確認するには、常に最新の情報で判断する必要があります。

💡 注意点

  • 遺言がある場合は、原則として遺言が優先されます(ただし「遺留分」がある)。
  • 相続放棄をすると、その人は最初から相続人でなかったことになります。

💡 補足:代襲相続とは?

  • 子や兄弟姉妹が相続開始前に死亡している場合、その子(孫・甥姪)が代わりに相続する制度です。

このように、誰が相続人かによって分け方は大きく変わるため、ケースに応じた確認が必要です。

2.戸籍を使った確認方法

戸籍謄本の取得手順と必要書類

法定相続人を正確に確認するためには、「戸籍謄本(こせきとうほん)」を集めることが必須です。これは亡くなった方の家族関係を証明する公的な書類で、「誰が相続人か」を判断する根拠となります。

まず最初に必要なのは、亡くなった方の「死亡の記載がある戸籍」です。市区町村の役所に申請すれば取得できますが、ここで注意すべきなのは「出生から死亡までのすべての戸籍を集める」こと。戸籍は何度か制度変更があったため、結婚や引っ越しのたびに別の市町村に本籍が移っている場合もあります。

たとえば、父が東京生まれで、結婚後に大阪に本籍を移していた場合、それぞれの市役所で戸籍を取り寄せなければなりません。申請の際には、本人確認書類と申請理由(相続のためであること)を記載する必要があります。

どの範囲までさかのぼるべきか?

戸籍を確認する際のポイントは、「出生から死亡まで、すべての戸籍を通して確認すること」です。なぜなら、相続人になり得る人物が過去に存在していた可能性があるからです。

たとえば、父に前妻との間に子どもがいた場合、その子も法定相続人です。しかし、現在の戸籍にはその子の情報が載っていないことが多いため、父の出生時からの戸籍をたどらなければ気づけません。

また、兄弟姉妹が相続人になる可能性があるケースでは、両親の戸籍も確認対象になります。父が亡くなったあとに「異母兄弟がいたことが判明した」というケースも実際にあり、相続手続きがやり直しになることもあるのです。

実際の戸籍調査の流れと注意点

戸籍調査は、以下のような流れで進めていきます。

  1. 亡くなった方の「現在の戸籍謄本」を取得する
  2. その中に「除籍」や「転籍」の記載があれば、さらに過去の戸籍をたどる
  3. 生まれたときの「出生の記載」がある戸籍までさかのぼる
  4. 親や配偶者、子どもなどの記載から、相続人候補を洗い出す

注意したいのは、「戸籍の読み方が難しい」という点です。昔の手書き戸籍や、戦前の戸籍は漢字も旧字体が使われており、内容も複雑です。読み間違いや見落としがあると、相続人の漏れにつながります。

そのため、不安がある場合は司法書士や行政書士に相談するのも一つの手です。専門家に依頼すれば、正確に戸籍を読み解き、相続関係を整理してくれます。

次の章では、戸籍情報をもとに作成する「相続関係図」について解説していきます。

3.相続関係図の作成と活用法

相続関係図とは?作成のメリット

「相続関係図」とは、亡くなった方(被相続人)とその家族との関係を図式化したものです。簡単に言えば、誰が相続人にあたるのかをひと目で確認できる家系図のようなものです。

この図を作る最大のメリットは、「関係が複雑でも一目で整理できること」。たとえば、被相続人に前妻との間の子どもがいたり、認知された子がいたりする場合、口頭や文字だけでは説明が難しくなります。しかし相続関係図にすれば、どのような関係なのかがすぐに把握でき、遺産分割協議の場でもスムーズに話が進みやすくなります。

また、相続人の中に疎遠な人物がいたとしても、「誰が法的に相続人か」を明確にできるため、感情ではなくルールに基づいて整理できます。

法定相続情報一覧図との違い

「相続関係図」と混同されやすいものに、「法定相続情報一覧図(ほうていそうぞくじょうほういちらんず)」があります。これは、法務局に申請することで発行される公的な書類で、相続登記や金融機関への提出に使えます。

違いを簡単にまとめると以下のとおりです。

種類内容用途
相続関係図自分で手書き・PCで作成できる関係図遺産分割協議や家族間の整理に便利
法定相続情報一覧図法務局で発行される正式な証明書登記や銀行手続きに使用

たとえば、「相続人が6人もいて登記のたびに全員の戸籍を出すのが面倒」といった場合、この一覧図を一度取得しておけば、戸籍の束を出す代わりに一覧図1枚を提出するだけで済むのです。

テンプレートの無料ダウンロード

専門家に依頼すべきケースとは?

相続関係が単純なケースなら、自分で相続関係図を作成することも十分可能です。しかし、以下のようなケースでは専門家に依頼するのがおすすめです。

  • 被相続人の戸籍が複数の市町村に分かれていて収集が困難
  • 前妻・後妻、認知された子など、複雑な家族構成がある
  • 相続人の一部に所在不明者や連絡が取れない人がいる
  • 相続人の数が多く、図にするのが難しい

このような場合、司法書士や行政書士に依頼すれば、正確かつ法的に信頼性のある相続関係図を作成してもらえます。特に「法定相続情報一覧図」を取得するには、提出用の関係図が必要となるため、最初からプロに任せると安心です。

相続関係図は、遺産をめぐる無用なトラブルを避けるための“見える化ツール”。相続手続きのスタートラインとして、ぜひ早めに準備しておきましょう。

まとめ

相続手続きは、誰が相続人であるかを正確に把握することから始まります。「うちは問題ない」と思っていても、戸籍をたどってみると予想外の相続人が現れるケースは決して珍しくありません。

まずは法定相続人の範囲を理解し、自分で調べる場合は戸籍謄本をしっかりと収集・確認しましょう。そして、関係が複雑であればあるほど「相続関係図」や「法定相続情報一覧図」を活用することで、家族間での共有や手続きがスムーズになります。

もし、戸籍の読み取りに不安があったり、相続人が多数いて調整が難しそうであれば、無理せず専門家(司法書士や行政書士)に相談するのが賢明です。手続きの負担を軽減し、相続を“もめごと”にしないためにも、早めの準備と正確な確認を心がけましょう。

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