初めての介護認定ガイド|申請手続きとご本人の不安をやわらげるコツ

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「そろそろ介護サービスを受けたほうがいいのかな…」
高齢の親や家族の体調が心配になってきたとき、まず頭に浮かぶのが「介護保険の申請」です。

でも、いざ手続きを始めようと思っても、

  • どこに相談すればいいのか?
  • 申請の流れってどうなっているのか?
  • 本人にどう切り出せばいいのか?

――そんな疑問や不安がたくさん出てきますよね。

特にご本人にとっては、「自分はまだ大丈夫」と感じていたり、「介護されるのは恥ずかしい」と思っていたりすることも多く、“心のケア”もとても大切です。

この記事では、介護認定の申請方法と流れをわかりやすく解説するとともに、本人が傷つかないための声かけや接し方についても紹介します。

「家族として何をすればよいか」を一緒に考えていきましょう。

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目次

はじめに

高齢化社会における介護の重要性

日本は世界でも有数の長寿国となり、65歳以上の高齢者が国民の約3割を占めるようになっています。

こうした中で、「介護」が身近な問題として多くの家庭に関わってくるようになりました。

たとえば、親が突然入院し、退院後に介助が必要になったというケースや、一人暮らしの祖父母が転倒して生活に不安を感じるようになったケースなど、誰にとっても起こりうる状況です。

介護を受ける側も、支える側も、安心して暮らしていけるようにするためには、正しく介護認定の制度を理解し、必要な支援を受けることが大切です。

介護認定を受けることのメリットとは

介護認定を受けると、介護保険を利用してさまざまなサービスを受けられるようになります。

たとえば、訪問介護で身の回りの手伝いをしてもらったり、デイサービスで日中を安全に過ごしたり、住宅改修の費用補助を受けたりと、生活の質を維持するための支援が整っています。

また、介護サービスを利用することで、家族の負担を軽減できる点も大きなメリットです。

「介護疲れ」や「仕事との両立」に悩む家族にとって、外部のサポートを得られることは精神的にも大きな助けになります。

まずは介護認定を受けることが、安心した生活を続ける第一歩になるのです。

1.介護認定とは何か

介護保険制度の概要

介護認定は「介護保険制度」の中で定められている仕組みです。

この制度は、要介護状態になった高齢者が適切な支援を受けられるようにするために設けられました。

40歳以上の人が加入する保険で、原則として65歳以上の方が対象となります。

たとえば、転倒して歩行が困難になったお年寄りや、認知症が進行して日常生活に支障をきたしている方などが、この制度を利用して介護サービスを受けています。

介護保険を利用するためには、まず「要介護状態」であると認定を受ける必要があります。これが「介護認定」と呼ばれるプロセスです。

要介護・要支援の区分

介護認定では、「要支援1・2」「要介護1〜5」の7つの区分があります。

これは、本人の身体の状態や日常生活の困難さの度合いに応じて判断されます。

たとえば、まだ自力で動けるけれど買い物や掃除などの一部を手伝ってもらいたいという方は「要支援」となり、反対に、食事や排せつなど日常生活の大部分に介助が必要な場合は「要介護」に該当します。

この区分によって、利用できるサービスの内容や回数、費用負担が変わってきます。

認定を受ける対象者

介護認定を受けられるのは、基本的には65歳以上の高齢者です。

ただし、40歳以上65歳未満でも、加齢が原因とされる特定の病気(たとえば、脳血管疾患や初期の認知症など)を患っている場合には、介護保険の対象となることがあります。

たとえば、50代で脳梗塞を経験し、日常生活に介助が必要となったケースでは、介護認定を受けることで自宅での生活を継続しやすくなります。

つまり、高齢者だけでなく、中年世代でも必要に応じてサポートを受けられる制度なのです。

2.介護認定の申請手続き

市区町村への申請方法

介護認定を受けるには、まず住んでいる地域の市区町村の窓口に申請する必要があります。

申請は本人だけでなく、家族や地域包括支援センター、ケアマネジャーなどの代理人でも可能です。

実際には、「介護保険要介護認定申請書」という書類を提出します。

たとえば、認知症が進んでいる高齢の父親の代わりに、息子さんが区役所の高齢福祉課に行って申請を行うケースがよく見られます。

申請窓口では、本人の状態について簡単な聞き取りも行われるため、日常の様子がよく分かる家族が同行するとスムーズです。

申請に必要な書類と準備

申請にあたっては、「要介護認定申請書」のほかに、被保険者証(介護保険証)が必要です。

また、主治医がいる場合は、その情報も事前に確認しておくとよいでしょう。

後日、医師から「主治医意見書」を提出してもらうことになるためです。

たとえば、日ごろ通っているクリニックに「介護認定の申請を考えている」と一言伝えておくと、スムーズに話が進みます。

その他、申請時に市区町村の職員が本人の状況を詳しく把握できるよう、本人の普段の生活ぶり(たとえば食事・入浴・排せつの自立度など)をメモにまとめて持参すると、より的確な対応を受けられます。

家族やケアマネジャーとの連携

申請から認定までの過程では、家族やケアマネジャーとの連携がとても重要です

たとえば、認定調査の日程調整や、訪問調査時の立ち会いなど、家族が同席することで、本人では伝えきれない体調や生活の様子を補足できるからです。

また、すでにケアマネジャーがいる場合は、制度や申請の流れについてアドバイスをもらえます。

「何を準備すればいいかわからない」「申請後にどんな流れになるの?」といった不安も、専門家に相談することで安心につながります。

家族だけで抱え込まず、周囲のサポートを活用することが、申請をスムーズに進める鍵となります。

3.認定までの流れとポイント

調査員による訪問調査の実際

申請が受理されると、市区町村から認定調査員が自宅に訪問し、本人の生活状況を直接確認する「訪問調査」が行われます。

この調査では、歩行の様子や食事・入浴の自立度、認知症の有無などについて、決まったチェック項目に沿って評価されます。

たとえば、「布団から一人で起き上がれますか?」「トイレは一人で行けますか?」など、日常生活の具体的な動作について聞かれます。ここで重要なのは、“普段の生活に近い状態”をきちんと伝えることです。

たとえば、家族がつい良く見せようと「ひとりでできます」と言ってしまうと、実際より軽い区分がつけられることもあるため注意が必要です。

主治医の意見書の役割

訪問調査と並行して、主治医から提出される「主治医意見書」も大切な判断材料になります。

この意見書には、本人の病歴、治療中の病気、日常生活への影響などが詳しく記されます。

たとえば、パーキンソン病で手の震えが強く、食事に時間がかかるといった内容があれば、それが認定に反映されます。

主治医はふだんの様子を一番よく知っている医療の専門家なので、できるだけ日ごろから病状や生活の変化を伝えておくことが重要です。

また、主治医がいない場合は、臨時に診てもらえる医療機関を市区町村が案内してくれることもあります。

認定審査会と結果通知のタイミング

訪問調査と主治医意見書の情報をもとに、最終的な判定を行うのが「介護認定審査会」です。

複数の専門家(医師や看護師、福祉職など)によって構成され、申請者の状態が「要支援」「要介護」のどの区分に当てはまるかを総合的に判断します。

審査の結果は、通常、申請から約30日以内に文書で通知されます。たとえば、「要介護2」と認定された場合は、その結果通知書と一緒に、利用できるサービスやケアプラン作成に関する案内も届きます。

結果が思っていたより軽いと感じた場合は、「不服申立て」も可能です。

介護認定はスタートラインに過ぎないため、結果をもとに必要なサービスをどのように受けていくかを、家族や専門家と一緒に考えていくことが大切です。

介護申請チェックリスト

介護認定を受けるためのチェックリストです。。
申請の準備段階で「どのような状態にあるか」を家族が確認できるよう、要介護認定の判断基準に基づいた実用的な形式になっています。

確認項目 チェック
日常生活の自立度
身体の状態
認知症や精神状態
服薬・食事の管理
家族の介護負担
医師やケアマネへの相談

チェックが複数当てはまる場合介護認定の申請を検討するタイミング

チェック表を印刷・保存して、ケアマネジャーや医師との相談時に提示すると効果的

介護認定申請書の書き方ガイド(記入例付き)

🔸申請書をもらう場所

  • 市区町村の「介護保険課」または「地域包括支援センター」
  • 施設入所者はケアマネージャーを通じて

🔸主な記入項目(実際の申請書に準拠)

項目記入のポイント
被保険者番号介護保険証に記載されています。記号も含めて正確に。
氏名・生年月日・住所本人の情報を記載。自筆が難しい場合は代筆でもOK。
申請理由「歩行が不安定になってきた」「一人での生活が困難」など簡潔に記載。
主治医の情報病院名・担当医名・診療科を記入。医師の診断書が必要になります。
連絡先本人または家族、代理申請者の連絡先を忘れずに。

🔸記入例(簡易版)

申請理由:昨年より歩行困難となり、転倒の危険が増してきた。  
自宅での入浴・排泄・食事に支障が出ており、家族の介助が必要な状況です。

📄【記入例】介護保険 要介護認定申請書(例)

「介護保険 要介護認定申請書」の記入例テンプレートです。
記入例は家庭でよくあるケースを想定したもので、フォーマットは自治体によって若干異なる場合がありますが、基本的な構成は全国共通です。

項目名記入例
被保険者証番号1234567890
氏名山田 花子
フリガナヤマダ ハナコ
性別
生年月日昭和15年4月1日
年齢85歳
住所東京都〇〇区〇〇町1-2-3
電話番号03-1234-5678
世帯主氏名山田 太郎
続柄長女
申請者氏名山田 太郎
続柄長女
申請者住所同上
申請者電話番号090-1234-5678
主治医氏名佐藤 内科医院 佐藤健一 先生
通院先東京都〇〇区〇〇町5-6-7
サービスの利用希望はい ☑ / いいえ ☐
現在利用している福祉サービスデイサービス(週2回)
記入日令和7年6月14日

✅申請後の流れ

  1. 申請書の提出
     → 市役所、または包括支援センターへ
  2. 調査員が本人を訪問(一次調査)
     → 自宅や施設での状態確認
  3. 主治医意見書の提出
     → 医師の所見に基づく医学的判断
  4. 判定会議(介護認定審査会)
     → 介護度が決定され、通知書が届く(通常30日以内)

介護申請は、体が衰えた証ではなく「これからを支える準備」です。
本人の気持ちにも配慮しながら、家族で支え合う第一歩として、
申請の準備を前向きに進めてみましょう。

介護認定を受ける本人のメンタルケア・注意点

1. 「介護=できない人」という誤解をなくす

多くの高齢者は、「介護が必要と言われる=もう自立できない人」と捉えてしまいがちです。
声かけ例:「できることは続けながら、少しだけ手助けしてもらえる制度だよ」

2. 自尊心を傷つけない言い方を心がける

「あなた一人じゃ無理だから申請するね」といった言い方は避け、
工夫した言い方:「手続きしておくと、転んだときにもすぐ助けが呼べるのよ」など
本人の価値や尊厳を尊重する言葉が大切です。

3. 認定調査では「普段通り」に答えてもらう

認定調査のとき、本人が「なんでもできる!」と張り切ってしまうこともあります。
▶ 家族が同席して「お風呂は手すりを使っています」など、現実に近い様子を補足しましょう。

4. 主治医の意見書に備えて「日常の変化メモ」をつける

病気や生活動作の変化がある場合、本人がうまく説明できないことも。
▶ さりげなく記録しておき、主治医に伝えることで正しい診断や評価に役立ちます

5. 無理に手続きを進めない

本人がどうしても抵抗感を示す場合、焦らずに説明し、理解してもらうことが大切です。
▶ 「いざという時の備え」「あなたが安心して暮らせるため」と伝えると受け入れやすくなります。

🌱 本人の安心を守るためのサポートポイント

項目説明
❖ 同意を得ること手続きをする前に「話を聞いてくれて嬉しい」と思ってもらえる関係づくりを
❖ 小さな自立を守る「できることはできるだけ自分で」を大切にすることで、心の安定につながります
❖ 急がず、丁寧に家族が焦っていると、本人にも不安が伝わります。ゆっくり説明する姿勢を大切に

介護認定の手続きは、家族にとって「事務的な処理」の側面が強くなりがちですが、本人にとっては人生の大きな節目と感じることもあります。

介護保険は「できない人のため」ではなく、「できることを続けるための手段」であることを伝えながら、本人の気持ちに寄り添った関わりを心がけることが、スムーズで気持ちのよい介護認定の第一歩です。

👪 会話例|本人の気持ちに寄り添うコミュニケーション

🟦 シーン1:介護認定を勧めるとき

❌ NG例(ありがちな失敗)

「お父さんもう年なんだから、介護の申請しなきゃダメでしょ」

→ 傷つけたり、反発される原因に…

✅ OK例

「最近、ちょっと疲れやすそうに見えるけど…何か手助けできることないかな?」
「役所で“介護のサポート制度”があるって聞いたんだけど、困ったときに役立ちそうだよ」
「元気なうちに申し込んでおくと、安心して過ごせるって言ってた人がいたよ〜」


🟦 シーン2:本人が「介護なんていらない」と拒否したとき

❌ NG例

「じゃあ勝手にしなよ。何があっても知らないからね」

→ 怒りや自己否定を感じさせてしまいます。

✅ OK例

「うんうん、できることは今もちゃんとできてるよね。でも、何かあったときに慌てないようにって思ったんだ」
「“助けてもらう”っていうより、“安心のために準備しておく”感じかな」
「必要なければ使わなくてもいいんだって。ただ、制度だけは使えるようにしておきたいの」


🟦 シーン3:認定調査の前日〜当日の声かけ

✅ OK例

「明日は、市役所の人がちょっと様子を見に来てくれるんだって」
「体のことを一緒に考えてくれる人たちだから、いつも通りに話してね」
「できることは“できる”って言って大丈夫だし、ちょっと手伝いが必要なとこは素直に言っていいんだよ」


🟦 シーン4:認定結果が届いた後

❌ NG例

「ほらね、やっぱりもう一人じゃ無理だったでしょ?」

→ 自信をなくしたり、反発を生む原因に。

✅ OK例

「今のままでいいって言ってくれたんだね、よかったね」
「これで、必要なときにすぐサービスを使えるから安心だよ」
「たとえばお風呂とか買い物で“少しだけ”手伝ってもらえるかもしれないって思うと、心が楽になるね」


🌱 ポイントまとめ

気をつけたいこと具体的な工夫
❖ 否定しないこと「できないからじゃなくて、備えるため」と伝える
❖ 自尊心を守ること「元気な今だからこそ動けるよね」と前向きな言葉を
❖ 一緒に進める姿勢「一緒に聞いてみようか」「一緒に行ってみようか」と共感を

まとめ

介護認定は、介護が必要な方やその家族にとって、日常生活を支えるための大きな助けとなる制度です。「どこから始めればいいかわからない」と不安に思う方も多いかもしれませんが、市区町村の窓口やケアマネジャーのサポートを受けながら、一つひとつ手続きを進めていくことで、適切な支援を受ける道が開けます。

申請から認定までには、訪問調査や主治医の意見、審査会の判断などいくつかのステップがありますが、それぞれに意味があり、公平で丁寧な審査が行われるよう工夫されています。

特に、実際の生活状況を正確に伝えることや、医師との日頃の関係づくりは、認定結果にも大きく影響します。

介護を「家族だけで抱え込むもの」と考えず、必要な制度を正しく理解し、使いこなすことが大切です。介護認定の仕組みを知ることは、本人にとっても家族にとっても、安心して毎日を過ごすための第一歩になります。

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